「自殺をする前に~エゴの死がやってきた」エックハルト・トール

極限状態からの目覚め

今回取り上げた動画では、エックハルト・トールが自身の目覚め体験を語っています。うつ状態、自殺寸前の機能不全に陥っていたエックハルトは、ある時「I can’t live with myself any longer.」「こんな自分ともうやってられない!」「こんな自分ともう一緒に生きていけない」という頭の中の声を聞き、この声(文章)を分析し始めたといいます。

「こんな私ともう一緒に生きていけない」そう思っている「私」は一体誰なのか?そして「こんな私」とは誰なのか?私は一人なのか、それとも二人いるのか?

そこから目が覚めるような気づきを得たエックハルトは「こんな私」(偽りの自己、私が私だと思っている私、エゴ的存在)とその背後にいる「私」(真我、意識)との混同から目覚め、ついには、意識の光を当てられた偽りの自己が生き残ることができないようになってしまったのだと語っています。

自殺する前に~「エゴの死」がやってきた!

「偽りの自己」とそこから派生する「不幸な私のストーリー」が究極的な結末を迎えるのが、世界中であとを絶たない自殺です。ほとんどの人は「偽りの自己」としての自己しか在り得ない状態から抜け出すことができず、「不幸な私のストーリー」も絶対的なものになり、盲目的な極限状態から自己を自殺にまで追い込んでしまうのです。

自分を自殺に追い込む勢いのある不幸なストーリーにどっぷりとはまり込んだ人に、エックハルトのように「私自身の肉体的な死」ではなく「偽りの自己の死」「エゴの死」への道しるべとなる気づきを提案してあげることはできるのか?あるいは、当人が極限状態に自己を追い込むことで自ら気づきを得るしか道はないのか?それは知る由もありません。

世界中が極限状態に達している中で、私たちにできることはただ一つ~自分自身の偽りの自己に対して、意識の光を当て続けることだと思います。

いつもありがとうございます。
愛と感謝と共に
With VastStillness

エックハルト・トール~「私はこれ以上こんな自分とやっていけない」

オプラ(以下O): 興味深いのはあなたが自殺しようと思った時、目覚めを体験したというところです。

エックハルト・トール(以下ET): そうですね。人は時として目覚めるために、極限状態にならなければならないことがあります。人類全体が極限状態に達してはいますが、個人レベルにおいても限界まで追い詰められないとならない場合があります。私の場合も、エゴが強烈になって限界まで追いやられることで殻が破られたということです。

O: パワーオブナウの冒頭に書かれていた、その当時のことをお話していただけますか?

ET: その頃の私は、猛烈な恐れで夜中に何度も目覚めるような状態でした。あまりの恐怖に打ちのめされ、世界全体が異質なものに感じられていました。ある日の夜、そしてその翌朝に、あまりの辛さに「これ以上こんな自分とやっていけない」という思考があることに気づいたのです。それから、突如として私の中で何かが起ったのです。私はその思考を観ていたのです。それが目覚めであるとは、そのときはわかりませんでした。私は「私はこれ以上私自身とやっていけない」という思考に気づき始めたのです。これはなんだか変だぞ・・・「私」がいて「私自身」がいるとなると、私は一人なのか二人なのか?二人に違いない!「私は私自身とやっていけない」となると、私が二人いることになると思ったのです。

頭の中のおしゃべり、独り言に気づく

O: それは誰もが感じていること、やっていることだと思うんです。自分自身に何か言い聞かせていることがありますよね。私も自分に向かって言っていることがあります。

ET: それが、頭の中のおしゃべり、あるいは独り言というものです。自分自身に語りかけているものです。ほとんどの人は「あなたはそんなことすべきじゃなかった」とか「あなたはそうすべきだった」とか、自分のことを「あなた」と言っています。人間の頭の中で、絶えず分離が起こっているのです。それはエゴの特質なのです。「私とはこういう人だ」と思っているイメージがあって、それが「私」と混同されているのです。

O: お話を中断してしまってすみません・・・「私はこれ以上私自身とやっていけない」と言っていましたが、その声が頭の中で繰り返されていたのですね?

ET: そこで私は、その文章を検証してみたのです。私が一緒に生きられない「私自身」とは誰なのか?「私」とは誰なのか?と思ったのです。そして、私の考えていること、思考回路、エゴがすべての苦悩を生み出していたことに気がついたのです。マインドは「不幸せな私」という存在を作り上げ、その思考にエサを与え続けていたのです。

スピリチュアルな自殺=エゴの死

O: ということは、その晩、死のうかどうか考え直したということですか?

ET: そういうことではありません。これは言ってみれば「スピリチュアルな自殺」です。私が橋から飛び降り自殺するのではなく、「エゴが死んだ」のです。エゴが分解したのです。観察されることのないマインドというエゴが消えてなくなったのです。偽りの私、不幸せなストーリーにいる私が消えたのです。

O: あーわかりました。

ET: 自分を「不幸なストーリーと不幸な私」に同一化していたその「不幸な私」が死んだのです。なぜなら、その背後にいる私が突然目覚めて「私が一緒に生きていけない、そいつは一体誰なんだ?」と言い始めたからです。その存在は直視されると分解してしまうのです。なぜなら、意識の光を向けられると生き続けることができないからです。

次の朝目が覚めて、辺りを見回してみると、古びた家具、鉛筆・・・見るものすべてが新鮮に見えました。鳥の歌声も、今まで聞いたことがないかのように生き生きと聞こえたのです。マインドが静止したために、ただある美しい光景を見たのです。カーテンからもれる陽の光も、今まで見たことがないかのように素晴らしいものに見えたのです。

by エックハルト・トール 「ニューアース」ウェブクラスより抜粋

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