アラン・ワッツの壮大なる宇宙観
アラン・ワッツの講話の中で、「ぼくは禅を広めたいと思っているのでもなければ、これが真理なのだと教えたい、信じてもらいたいと思っているわけでもない。ただ、人生を、宇宙をこのように見ている人間もいるのだと、ぼくの宇宙観を話しているだけだ」という一言があり、それ以来益々、アラン・ワッツのアパチャー(覗き穴)~ものの見方、意識のレンズに注目するようになりました。
英語を日本語に訳す時、著者が意図して使っている言葉選びをなかなか翻訳しきれない時がありますが、今回のアラン・ワッツの動画の中にも just as the flower is flowering the field, I feel myself as a .. personing, manning, peopling the whole universe. という表現があり、ここのところはちょっと立ち止まってアラン・ワッツの心情を感じ取ってみました。通常は名詞としてしか使わないperson, man, peopleという言葉を動詞にして使うことによって、アラン・ワッツは私たち一人ひとりが全宇宙を織りなす自然界の生命の一部として息づいていること、一人であり全体でもあることを表現したのではないかなと思いました。
今回の動画でアラン・ワッツは、自然界の現象を上手に取り込みながら自然界と人間界を分離して捉えがちな人間の矮小な世界観にメスを入れて、私たちは私たちの理解を超えて精妙に深くつながり合い、相互依存しているということ(全てのものは単体として孤立して存在し得ないこと)への気づきを与え、さらには『私は全宇宙エネルギーのヴォルテックスの中心であり、私という宇宙の窓を通して宇宙自身を見ているのだ』という壮大なる宇宙観へ私たちを誘ってくれたのではないかと思っています。