メンタルイメージの人間関係が氾濫するIT時代
スマホの普及とともに、フェイスブック、メッセンジャーアプリとしてのラインと、私たちを取り巻くコミュニケーションは、いつの間にかデジタル化が加速し幅を効かせてきています。今回アップしたエックハルト・トールの動画にもあるように、一気にエスカレートしたデジタルコミュニケーションによって、メンタルイメージだけが異様に膨張し、思考の性質、エゴ意識の性質を理解していないと、とんでもない「ファンタジーの世界」に生きることになってしまう世の中になってしまっています。ほんの数十年前の電話時代と比べたら、スマホ時代の現代は「イメージの世界」の不特定多数の他者が、いつも物質的な形で隣接しているかのような状況設定になっているわけですから、人によっては、イメージの中の他者の目が怖くなってしまったり、どう付き合って良いのかわからなくなって不安になったりする人もでてくるわけです。実質上誰とも付き合っていないのに、「抽象的な相手」が猛威を振るい、人付き合いにくたびれ、人間嫌いになる人・・・挙句の果ては、自分で創りあげているメンタルイメージだと知る由もなく、相手が怖くなって孤立し引きこもりになってしまう場合も珍しくないのです。
とは言え、このメンタルイメージの作り上げるファンタジーの世界は、もちろんIT時代に始まったわけでもなく、また実際に会ったからといって、そう安々と消えてなくなったりするものでもありません。逆に、一度決め込んだ相手へのメンタルイメージを変えるのはなかなか難しかったりします。「うちのダンナさんはこういう人なんだ」「あの人はああいう人だから」とイメージを不動のものにしてしまうのです。どちらにせよ、ファンタジーの世界に引きこもったら要注意!です。
「メンタルイメージに恋をする」~エックハルト・トール
質問者:私は結婚している身なのですが、どうしても昔の恋人が忘れられません。もう10年以上も彼には会っていないのですが、連絡をとってみたことはあります。こう思うのは私のエゴで、現実的に生きるべきだとはわかっています。昔の恋人と一緒になる可能性はありますか?
エックハルト:まずあり得ないです。これはマインドが作り上げるファンタジーの世界のお話です。マインドというのはあなたをコントロールするために、何かしらファンタジーの世界を作って毎日あなたを引きずり込みたがるのです。言ってみれば、あなたの頭の中にファンタジーの部屋があって、あなたは毎日そのファンタジーの部屋に行って一日中過ごしているという感じです。マインドというのはそうやってあなたを騙しているのです。でもあなたは、それが現実だと思い込んでいるわけです。この場合にも、実際には何も起こっていないのです。
このようなことはよくあります。以前にも、何人かにおかしな話を聞かされたことがあります。インターネット上で誰かと知り合い、メッセージを交換し始めると、その人に対するイメージが頭の中で出来上がってきます。そして、自分で作りあげたその人へのイメージに惹かれていきます。そこであなたは写真を送ってくれませんかと頼んで、相手の写真を手にします。ところが、本当にそれが相手の写真なのか保証はありません。さらに、その写真が最近のものなのか、25年前に撮ったものなのかさえわからないのです。
頭の中で理想的な相手のイメージが膨張する
以前私がカウンセリングをしていた頃、ある男性が相談にやって来ました。彼は、ネット上で知り合った遠くに住む女性にどんどん惹かれていったのです。彼女は彼に自分の写真を送り、彼も自分の写真を送り、やりとりは続きました。彼はスピリチュアルな目覚めのために週に一回カウンセリングに来ていたのですが、回を重ねるごとに彼女のことばかり話すようになったのです。彼女と一緒になりたいと思い、彼女のことが頭から離れなくなり、四六時中彼女のことばかり考えていたのです。彼は彼女に「会おう」と言ったのですが、彼女は「もうちょっと待って」というのです。
私は、彼に会う度に「ネット上で付き合っているだけでなく、とにかく彼女に会わなくてはだめだ」と言い続けました。そして、ついに彼は彼女に会うことになりました。2ヶ月以上、頭の中が彼女のことでいっぱいになってからのことです。完全に抽象的なのです。実物の人間ではなく、頭の中で作りあげた抽象的な彼女のイメージが膨らんでいたのです。彼は頭で作り上げたイメージに恋をしていたのです。私は彼に言い続け、ようやく彼女を説得して二人は会うことになりました。それで彼らの関係性は終わりました。彼女が送ってきた写真は昔撮ったもので、25~30年も前のものだったのです。
しかし、面白い話はまだ続きます。彼は頭で創りあげた彼女に強烈に恋をしていたので、会ってすぐ、別れる前に肉体関係をもったのです。イメージが膨らみすぎて、そうしなければならなくなっていたのです。でも、それで終わりです。もっと早いうちに会っていれば現実のほうがやってきたはずなのですが、この例でもわかるように、思考というのは、これほどまでにあなたを乗っ取ってしまうということです。思考の中での関係性が始まり、膨れ上がってしまうのです。その思考が、あなたの頭を完全に占領してしまうのです。
これは、ネットで出会った場合だけでなく、恋に落ちる時には普通に誰もがやっていることです。あなたはまともにその人を見ることができないのです。マインドで作りあげたその人のイメージに恋をしているのです。マインドで理想的な相手のイメージを作り上げてしまうからです。究極的に言うと、自分が作った理想的な相手のイメージに恋をしているのです。またそこに、感情的肉体的な要素も加わってきます。性的な魅力、感情的な魅力、その人のイメージなどが混ざり合い、それに恋をしていくのです。そして、一緒に住み始めるとその恋は冷めていきます。恋が冷めた時、恋愛関係が終わるかもしれないし、より現実的なものとして再スタート出来るかもしれません。どちらを選択してもいいでしょう。大体の場合、関係性は終わりますが、終わらせなくてもよいのです。イメージの相手ではなく、その本人と真の人間関係性を築きあげていくことも可能です。
いつの間にかフェイスブック上の「自分」で生きていませんか?
最近はご存知のようにフェイスブックというものがあります。私も登録しています。これはほとんどが抽象的なものです。そのページには作り上げられた「自分」が存在し、人は、そのフェイスブック上の自分で生き始めるようになっていきます。フェイスブック上での自分はどうなんだろう、どう見えているんだろうと、フェイスブック上での自分が何よりも大切になってしまうのです。それもまた、マインドの世界に自分を見失ってしまう現象です。本質的な自分ではなく、概念化された自分を生きているのです。それがテクノロジーによって強化されているのです。つまり、周りの人に自分のことをこう見て欲しいというイメージを作り上げて、それを見せていくのです。そして、いつの間にかフェイスブック上の自分と同一化し始めてしまうのです。まったくビックリですよ!
もし、あなたもそんな状態になっているとしたら注意してくださいね。フェイスブックを使うなと言っている訳ではありません。私もフェイスブックに投稿しています。私には難しすぎるので出来る人に頼んでいますが・・・どうも私には難しすぎてその仕組みがわからないのです。もう少ししたらわかるようになるかもしれませんが・・・